吐き気（嘔吐）とは
吐き気とは、食べたものや飲んだもの、胃液などを吐いてしまいそうな気分の悪さのことを指します。実際に吐いてしまうのが、嘔吐です。
吐き気には、一過性で自然に治まるものと、医療機関での検査・治療が必要なものに分けられます。
次の項目で、受診の目安をご確認ください。受診が必要な吐き気に該当しない場合であっても、不安がある場合にはお気軽にご相談ください。
吐き気(嘔吐）の時の受診のタイミング
すぐに救急外来を受診
- 強烈な頭痛、ふらつき、めまい、麻痺を伴う吐き気や嘔吐
- 激しい腹痛、38℃以上の発熱を伴う吐き気や嘔吐
- 嘔吐がひどく、水を飲むことも難しい
- 吐いたものに血が混じっている、吐血した
その日病院で診察が必要な吐き気
- 数時間続く吐き気
- 頻繁な吐き気があり、何度か吐いた
- 腹痛、下痢を伴う吐き気や嘔吐
翌日以降、消化器内科へ
- ときどき吐き気があり、吐いた
- 嘔吐はしないものの吐き気が続いている
- 吐き気に加え、発熱、下痢がある
経過観察で大丈夫な吐き気
- 昨日今日の食べ過ぎ・飲み過ぎなど、思い当たる原因がある吐き気
- 不安、緊張などによる一時的な吐き気（不安・緊張が解けると消失）
耳鼻科、神経内科へ
- めまいや耳鳴りを伴う吐き気や嘔吐
原因
吐き気・嘔吐の原因としてよく見られるものをご紹介します。
飲みすぎ食べすぎ
胃粘膜が刺激されて過剰な負荷がかかり、胃酸がたくさん分泌されるため吐き気をもよおします。
食あたり(食中毒)
食あたりの原因となる食べ物・飲み物を体外へと排出するため、身体の防御反応として吐き気が起こります。
ストレス、疲労など
不安や緊張といったストレス、疲労などが原因で脳の嘔吐中枢が刺激され、吐き気を引き起こすことがあります。
喫煙、悪臭、排気ガスなど
煙草の煙、生ごみなどの悪臭、排気ガスなどで吐き気をもよおすことがあります。
他の嘔気を伴う病気
メニエール病、突発性難聴、心筋梗塞、脳卒中、風邪症候群などが原因で、症状として吐き気が起こることがあります。
原因となる消化器疾患
急性胃腸炎
ウイルスや細菌の感染によって起こる胃腸炎です。
吐き気、嘔吐の他、腹痛、下痢、発熱などの症状を伴います。
急性胃炎
食べ過ぎ、飲み過ぎ、ストレス、ピロリ菌感染、ウイルス感染、食あたりなどが原因で起こる胃炎です。
吐き気、嘔吐の他、胃痛、食欲不振、吐血、下血などの症状を伴います。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍
ピロリ菌感染、ストレス、薬の副作用などによって、胃や十二指腸の粘膜が深く傷つく病気です。
胃やみぞおちの痛み、腹痛、黒色便（タール便）に加えて、吐き気や嘔吐などの症状を伴うことがあります。
胃がん
早期にはほとんど症状がありませんが、進行することで消化管が狭窄し、吐き気をもよおすことがあります。
その他、胃やみぞおちの痛み、食欲低下、体重減少などの症状が見られます。
急性胆嚢炎・胆石発作
吐き気や嘔吐を招く原因疾患としてよく見つかります。
その他、みぞおちや右わき腹の痛み、発熱などの症状を伴います。症状が強まったり弱まったりを繰り返すという特徴を持ちます。
急性虫垂炎
盲腸の虫垂に炎症が生じている状態です。
まずみぞおちに痛みが生じ、その後徐々にへそ、下腹部へと痛みが移っていきます。これに加え、吐き気や嘔吐といった症状を伴います。
腸閉塞
腸捻転、腫瘍、腸の機能低下などを原因として内容物が先に進まない状態です。
へそまわりの強い痛み、吐き気、嘔吐、腹部の張りなどの症状が見られます。
ウイルス肝炎、膵炎
ウイルス性の急性肝炎では、発熱、吐き気、嘔吐、倦怠感、黄疸などの症状が見られます。
膵炎では、吐き気、嘔吐、腹痛などの症状が見られます。
腹膜炎
腸閉塞、胃や腸の穿孔などを原因とし、腹腔内が感染・炎症を起こしている状態です。
吐き気、嘔吐、腹痛、発熱などの症状が見られます。
吐き気の原因となるその他の疾患
脳・神経の病気
吐き気を伴う脳・神経の病気としては、脳梗塞や脳出血、脳炎、髄膜炎などが挙げられます。
脳梗塞・脳出血の場合には痺れ、麻痺、頭痛、呂律が回らないといった症状が、脳炎・髄膜炎の場合には高熱などの症状が見られます。
狭心症・心筋梗塞
冠動脈の動脈硬化の進行が主な原因として起こります。
胸が締め付けられるような痛み、胸やけ、吐き気、嘔吐などの症状が見られます。
薬剤性の吐き気・嘔吐
薬の副作用によって、吐き気や嘔吐が起こることがあります。
受診の際には、お薬手帳をお持ちください。
診断
吐き気の診断では、問診で得られる情報が重要な判断材料となります。どのようなときにどのような吐き気があったのか、嘔吐はあったか、他の症状の有無、既往歴、服用中のお薬など、できるだけ詳しくお伝えください。
問診の上、必要に応じて以下のような検査を行います。
胃カメラ検査
食道、胃、十二指腸での疾患が疑われる場合に実施します。炎症、潰瘍、がんなど病変の有無を確認します。ピロリ菌検査を行ったり、組織を採取して病理検査にかけることも可能です。
当院では、経鼻内視鏡と経口内視鏡の両方をご用意しております。また、鎮静剤を用いて、ほとんど苦痛なく検査を行うことも可能です。
血液検査
炎症の程度、ウイルスや細菌の感染の有無、脱水の有無などを調べることができます。
薬物療法による経過観察
吐き気や嘔吐の原因となる病気・症状を抑える薬を使いながら、経過観察します。
吐き気でお困りの方は当院へ
食べ過ぎや飲み過ぎ、不安・緊張などによる一過性の吐き気であれば、原因の解消によって吐き気も自然に治まります。
しかし、ここまでご説明した通り、緊急を要する吐き気、早めの受診が必要な吐き気もあります。
当院では、胃カメラ検査・大腸カメラ検査にも対応しておりますので、がんをはじめとする幅広い消化器疾患の有無を調べることができます。基本的な検査に加え、内視鏡を用いた高度な検査があってこそ、正確な診断と適切な治療が可能になります。
どうぞ、安心してご相談ください。
